相続放棄ができない事例

文責:代表 弁護士 西尾有司

最終更新日:2023年02月13日

1 被相続人の生前に相続放棄をさせることはできない

 被相続人がまだご生前のときに、特定の相続人に相続放棄させることはできません。
 もし、特定の相続人に財産を遺したくないとの要望があるようでしたら、弁護士に相談して遺言を作成されることをお勧めします。

2 相続財産を使ってしまった場合

 相続放棄は、現金・預貯金・不動産・株式等のプラスの財産も借金などのマイナスの財産もすべて相続しないという手続きです。
 そのため、例えば、相続財産から何か各種支払を行うなど、相続財産を使ってしまうと、相続を単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなってしまいます。
 この単純承認には、相続財産のうちのプラスの財産を使うことだけでなく、マイナスの財産を引き継ぐことも含まれます。
 つまり、被相続人の借金を相続人が相続放棄手続き完了前に返済したりすると、「借金を相続することにした」とみなされてしまい、相続放棄ができなくなってしまいます。

3 相続放棄手続きの完了後に背信行為をした場合

 相続放棄を家庭裁判所に申立て、認められると、申立てを行った相続人は、「はじめから相続人ではなかった」ことになります。
 したがって、他の相続人が相続財産を引き継ぐことになります。
 そうであるにもかかわらず、相続放棄を申し立てた者が、相続財産の一部または全部を隠したり、私的に消費したり、悪意をもって相続財産目録に載せなかったりすると、他の相続人が相続財産を引き継ぐことができなくなってしまいます。
 そのため、このような背信行為を行った場合は、民法では相続放棄手続きが完了した後であったとしても、相続放棄を認めないことにしています。

4 相続放棄の期限を経過した場合

 相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」でなければ手続きを行うことができないのが原則です。
 期限が差し迫っている場合、家庭裁判所に相続放棄の期限の伸長の申立てを行い、認めてもらわなければ、相続放棄の期間が3か月で終わってしまいますので、注意が必要です。

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